以前、「特定口座の商品を売って新NISA口座で買い直すべきか否か」という記事を書きました。
結論としては、
『新NISAの1800万円の枠を10年以内に埋められるなら、特定口座の商品を売却するな』
『仕事をやめる予定があるならするな』
と書きました。
その後、「こういうパターンもあるな」とか、「補足しておくべきだな」思うことができたので書いてみます。
特定口座の商品を売っても、税金がかからない場合
特定口座で保有している商品が、買ったときから評価額が増えていない、あるいはマイナスになっている場合は、売却しても税金はかからないので、新NISAの枠を埋める年数に関わらず、売って買い直しましょう。
(マイナスの場合は「損切りしていいのか」とか「損益通算したほうがいいか」とか、いろいろ考慮すべきことがありますが、割愛)
特定口座の商品を売ったときに、税金がかかる場合
上記とは逆に、商品の評価額が購入時より上回っている→利益が出ている場合。
売却するとその利益の約20%に税金がかかるわけですが、
○その税金が少額の場合
かつ
○売って新NISAに買いなおす→1800万円の枠を埋めるまでに期間がある場合
には、税金を払っても買い直したほうが結果として得をします。
例えば、
(数字が多いので、面倒な方は飛ばしてください)
・毎年240万円投資に回せる
・特定口座に125万円(元本100万円)の商品がある
・利回りは5%とする
・(簡単にするために)税金は20%とする
という場合。
1年目、新NISA口座で240万円を投資する。
また、特定口座の125万円の商品を売って、20%の税金・5万円を払って、残った新NISA口座で120万円を投資する。
2年目から7年目は、毎年240万円を投資して、1,800万円の枠が埋まる。
1年目に特定口座の商品を売って投資した120万円は、7年後に169万円になっています。
一方、特定口座の商品を売らなかった場合、125万円は176万円になりますが、それを売却した場合、76万円に対して15万円を引かれて161万円になります。
8万円の得!(^ω^)
こんなふうに、ちゃんと計算して得になるなら、買い直すべきですね!
未来は予想どおりにはいかない
と、単純な話ではないんですよね。
この計算どおりにいくかどうかは誰にも分かりません。
例えば、
○利回りが予想より低い、あるいはマイナスになってしまう。
○急に大金が必要になり、取り崩さなければならなくなる。
などは容易に想像できるでしょう。
(「投資が続けられなくなる」(けど保有はし続ける)は、ここでは問題なし)
毎年5%増える、というのは、あくまで予想です。
そうでない年もありますし、それが何年も続くかもしれません。
また、急にお金が必要になるのは、ままあることです。
事故を起こして入院費とか、修理費とか、賠償金とか。
もちろん生活防衛資金は用意しておくのが大原則ですが、それでも足りない場合には投資商品を売却するしかありません。
払った税金分の元を取るだけの期間が経っていないうちに売ってしまうと、損になってしまいます。
感情と折り合いをつけるのは難しい
第二に、感情の話。
「数年後の〇万円の利益が出るって言われても、今△万円の税金を払うなんて嫌!」
ということ。
上記のような、「予想通り儲からないかもしれない」「元を取れないかもしれない」という不安要素もありますが、
「未来に得すると分かっていても、現在の損を受け入れられない」
って思ってしまう人が多いはずです。
(心理学で「時間割引」って言うヤツらしいですよ)
また、元本100万円から125万円になった商品を売却して、利益の25万円のうち20%の5万円を税金として納めなければならない場合、
「25万円しか儲けてないのに!」
「5万円も税金で持っていかれる!」
って思いませんか?
貰えるお金と、取られるお金では、感じる価値が違うものなのです。
(こちらは「価値関数」って言うそうです)
まとめ
「計算上、特定口座の商品を売却して、税金を払っても、新NISA口座で買い直したら利益が出る」ということに不安を抱かない方は、買い直せばいいと思います。
でも、「枠を埋めるまでに何かあるかもしれないし」「税金を払うのがもったいないし」と不安になる方は、手間をかけて買い直す必要はないでしょう。
ワタシが「5~10年で新NISA枠を埋める民」だったら、完全に後者ですね。
数年かけて得た利益から20%も持っていかれるなんて、ありえません!
トータルで損するにしても、心が穏やかなほうがいいです。
資産状況から計算して、感情と相談して、最終的にどうするのかはご自身で判断してください!
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